Nature ハイライト
免疫学:肝細胞によるCD8+ T細胞のプライミング
Nature 574, 7777
M Iannacone、A Bénéchet、G De Simoneたちは今回、B型肝炎ウイルス(HBV)に慢性感染した状態で典型的に見られるような寛容化・鈍化した免疫応答と、炎症性抗ウイルス免疫応答とを区別する、時空間的および分子的特徴付けに取り組んだ。その結果、クッパー細胞によってプライミングされたCD8+ T細胞は、二次リンパ器官でプライミングされた細胞と区別できないエフェクター細胞へ分化することが明らかになった。対照的に、肝細胞によるプライミングは、CD8+ T細胞の機能不全を生じ、この細胞はサイトカインを産生する細胞傷害性のエフェクター細胞への分化ができない。しかしIL-2で処理すると、これらの異常は部分的に回復する。この研究は、活性化の条件がCD8+ T細胞機能をどのように決定するかについて新しい知見をもたらしている。これはT細胞研究にとって重要であり、その意義は今回用いられたモデルだけにとどまらない。
2019年10月10日号の Nature ハイライト
地震学:余震と前震を区別する
免疫学:肝細胞によるCD8+ T細胞のプライミング
構造生物学:ヒトの可溶性グアニル酸シクラーゼの構造と機能についての知見
材料化学:高エントロピー合金中に立つ波
マイクロ流体力学:自己融合マイクロ流体流によるパルス状試薬送達
生物地球化学:白亜紀/古第三紀境界の後の回復期間
考古学:先史時代の育児
腫瘍生物学:マラセジア属の菌類は膵臓がんを促進する
がん治療:肝臓がんの効果的な治療法の開発
分子生物学:白血病で見られるスプライシングとDNAメチル化の協調的変化