Nature ハイライト
Cover Story:もつれた話:アルツハイマー病では炎症がタウのもつれの形成を駆動する
Nature 575, 7784
表紙は、ニューロン内部に蓄積したタウタンパク質(青色)を描いたものである。タウタンパク質は、アミロイドβと共に、アルツハイマー病に重要な役割を果たしていると考えられている。アミロイドβが老人斑に蓄積するのに対し、過剰リン酸化タウタンパク質は神経原繊維変化に凝集し、こうした老人斑と神経原繊維変化が神経変性と認知機能低下に寄与する。ミクログリアのNLRP3インフラマソームは体の自然免疫能の防御力の一部を担うタンパク質複合体で、その活性化は、アミロイドβ斑の形成に不可欠である。今回M Henekaたちは、NLRP3インフラマソームもタウのもつれの形成を助けていることを明らかにしている。彼らは、ミクログリアとNLRP3インフラマソームを活性化するアミロイドβの下流でタウのもつれが発生することを示しており、これはアルツハイマー病のアミロイドカスケード仮説を裏付けている。著者たちはさらに、タウ自体がNLRP3インフラマソームの活性化を促進し得ることを見いだしており、これは他の神経変性疾患にもより広範に関係してくると示唆している。
2019年11月28日号の Nature ハイライト
ナノテクノロジー:量子ドットLEDの解毒
電気化学:二酸化炭素をメタノールに変換する安定かつ高活性の分子電解触媒
化学合成:イチョウの代謝物の合成
気候科学:海洋の温暖化による熱帯の気象変動の主要なパターンの変化
遺伝学:Y染色体喪失のモザイク
進化学:走化性による細菌の導かれた分布拡大
進化学:分布拡大の進化的最適化
微生物学:細菌の(p)ppApp合成を介した中毒
免疫学:細胞死経路間のクロストーク
がん:新たなフェロトーシス抑制因子
がん遺伝学:がんにおける染色体外DNA