Nature ハイライト
Cover Story:ボトルネックの解消:PET製品の効率の良い再生と再利用に有望な改良型酵素
Nature 580, 7802
プラスチック廃棄物は、重大な環境問題であり、毎年約2億トンが埋め立て地や自然環境に蓄積されている。この問題に大きく寄与しているのが、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。PETは、プラスチックボトルの製造に広く使われていて、リサイクルが難しい。今回A Martyたちは、PETを効率よくモノマー成分に分解できる酵素を作製したことを報告している。今回のPETヒドロラーゼは、10時間で、少なくとも約90%のPETを解重合できる。より重要なのは、得られたモノマーの特性が石油化学原料から新たに生成したものとほぼ同じであるため、これをペットボトルの製造に再利用できることであり、これによってPETに基づく循環経済の構想に一歩近づいた。
2020年4月9日号の Nature ハイライト
材料科学:シリコン合金からの効率の良い発光
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
化学:創薬のツールボックスの拡張
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
がんゲノミクス:リキッドバイオプシーを用いた肺がんのスクリーニング
医学研究:心機能の心拍ごとの評価
腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる
代謝:塩素イオンチャネルHodorはショウジョウバエにおける亜鉛の感知、成長シグナル伝達、食欲に関わる腸の回路を駆動する
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造