Nature ハイライト

腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー

Nature 580, 7802

オルガノイド内腔に細菌を注入するイメージ図(左)と、実際に細菌を注入したヒト腸オルガノイドの蛍光顕微鏡画像(右)。
オルガノイド内腔に細菌を注入するイメージ図(左)と、実際に細菌を注入したヒト腸オルガノイドの蛍光顕微鏡画像(右)。 | 拡大する

Credit: Cayetano Pleguezuelos-Manzano, Jens Puschhof, Axel Rosendahl Huber, ©Hubrecht Institute.

遺伝毒性物質のコリバクチンを産生するpks+大腸菌(Escherichia coli)などの細菌の感染は、がんの発生に結び付けられている。H Cleversたちは今回、ヒトの腸オルガノイドをpks+大腸菌に曝露させ、ゲノム解析によって、この感染オルガノイドでは独特な変異シグネチャーが見られることを明らかにしている。コリバクチン産生大腸菌に特異的であるこの「pks変異シグネチャー」は、ヒト大腸がんの試料にも見られ、発がん性ドライバー遺伝子の多くの変化と一致した。今回の知見によって、pks+大腸菌のありふれた腸内感染が、大腸がんの発生に役割を持っているという推測が直接裏付けられた。

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