Nature ハイライト
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
Nature 580, 7802
遺伝毒性物質のコリバクチンを産生するpks+大腸菌(Escherichia coli)などの細菌の感染は、がんの発生に結び付けられている。H Cleversたちは今回、ヒトの腸オルガノイドをpks+大腸菌に曝露させ、ゲノム解析によって、この感染オルガノイドでは独特な変異シグネチャーが見られることを明らかにしている。コリバクチン産生大腸菌に特異的であるこの「pks変異シグネチャー」は、ヒト大腸がんの試料にも見られ、発がん性ドライバー遺伝子の多くの変化と一致した。今回の知見によって、pks+大腸菌のありふれた腸内感染が、大腸がんの発生に役割を持っているという推測が直接裏付けられた。
2020年4月9日号の Nature ハイライト
材料科学:シリコン合金からの効率の良い発光
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
化学:創薬のツールボックスの拡張
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
がんゲノミクス:リキッドバイオプシーを用いた肺がんのスクリーニング
医学研究:心機能の心拍ごとの評価
腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる
代謝:塩素イオンチャネルHodorはショウジョウバエにおける亜鉛の感知、成長シグナル伝達、食欲に関わる腸の回路を駆動する
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造