Nature ハイライト
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
Nature 580, 7802
真珠層などの機械的強度の高い生体複合材料は、層状の構造をとっており、材料科学では、その構造と特性を人工的な類似材料で再現する方法が長い間探究されてきた。今回、シリコーン油下でせん断流を用い、アルギン酸塩溶液中で酸化グラフェンや粘土のナノシートを配向させる方法が報告されている。アルギン酸塩は次に、カルシウムイオンを用いて架橋され、これによって配向した二次元シートが適切な位置に保持される。こうして得られた膜は、乾燥させて重ね合わせることでバルクのナノ複合材料になる。PVAやカーボンナノチューブを添加すると、複合材料の特性はさらに向上した。この優れた機械的特性は、閉じ込めによってポリマー鎖が固まった臨界界面相が各ナノシートの周りに形成された結果であると、著者たちは主張している。今回の連続作製工程によって、高強度の秩序化したナノ複合材料膜を大規模に製造する機会が得られる。
2020年4月9日号の Nature ハイライト
材料科学:シリコン合金からの効率の良い発光
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
化学:創薬のツールボックスの拡張
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
がんゲノミクス:リキッドバイオプシーを用いた肺がんのスクリーニング
医学研究:心機能の心拍ごとの評価
腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる
代謝:塩素イオンチャネルHodorはショウジョウバエにおける亜鉛の感知、成長シグナル伝達、食欲に関わる腸の回路を駆動する
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造