Nature ハイライト
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
Nature 580, 7802
大気中の二酸化炭素(CO2)の増加は、植物の炭素取り込みと成長を促進し得るため、気候変動に対する重要な負のフィードバックになる。しかし、成熟林における現在の証拠は、CO2増加の下では光合成による大気中CO2の取り込みが増大しているにもかかわらず、高木の成長の増大は見られないことを示している。では、余分な炭素はどこに行くのだろうか。今回M Jiangたちは、4年間の生態系規模の開放系大気CO2増加実験で得られたデータを用いて、成熟林における炭素の行方を追跡している。その結果、光合成によって取り込まれた余分な炭素の大半が、増強された生態系呼吸によって放出されて最終的に大気中に戻っており、炭素損失の約半分を土壌呼吸が占めていることが見いだされた。今回の知見は、全球の森林におけるCO2施肥は、これまで考えられていたほど気候変動の緩和に効果的ではない可能性を示唆している。
2020年4月9日号の Nature ハイライト
材料科学:シリコン合金からの効率の良い発光
材料科学:配向したナノ複合材料膜の連続的作製
化学:創薬のツールボックスの拡張
炭素循環:成熟林では二酸化炭素増加の下で炭素隔離の増大は見られない
がんゲノミクス:リキッドバイオプシーを用いた肺がんのスクリーニング
医学研究:心機能の心拍ごとの評価
腫瘍免疫学:免疫調節機能を持つ樹状細胞がチェックポイント阻害への応答を妨げる
代謝:塩素イオンチャネルHodorはショウジョウバエにおける亜鉛の感知、成長シグナル伝達、食欲に関わる腸の回路を駆動する
腫瘍生物学:遺伝毒性のあるpks+大腸菌によって誘導される大腸がんの変異シグネチャー
神経科学:4Rタウ繊維の新規な構造