Nature ハイライト

生態学:生物多様性の気候限界を超える

Nature 580, 7804

生態学的な集合体内の種がニッチの限界を超えた気候条件にさらされる時期については、一般的にはよく分かっていない。今回C Trisosたちは、陸生種および海生種の集合体がそれらの実現生息域で前例のない温度を経験しそうな今世紀中の時期を推定している。彼らはまず、1000組の生物学的集合体からなる計3万652種に関して現在の温度ニッチを推定した。そしてそのデータを22の気候モデルから得られた気温予測と組み合わせることで、生物多様性の気候限界プロファイルを作成し、実現ニッチの限界を超える条件に曝露される種の累積率を明らかにした。その結果、生態学的集合体の前例のない温度への曝露は突然起こる可能性があり、集合体に含まれる種の大半がそうした温度を経験するタイミングのずれは互いに10年以内であることが明らかになった。2°Cを超える温暖化では、突然の大規模な生物多様性曝露のリスク地域(10年以内に20%以上の種が前例のない温度にさらされる地域)は急速に拡大すると予測され、4°Cの温暖化では、そうしたリスクは全球の生物種集合体の15%に及び、影響のレベルは保護区でも非保護区でも同等となる。

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