Nature ハイライト
生態学:生物多様性の気候限界を超える
Nature 580, 7804
生態学的な集合体内の種がニッチの限界を超えた気候条件にさらされる時期については、一般的にはよく分かっていない。今回C Trisosたちは、陸生種および海生種の集合体がそれらの実現生息域で前例のない温度を経験しそうな今世紀中の時期を推定している。彼らはまず、1000組の生物学的集合体からなる計3万652種に関して現在の温度ニッチを推定した。そしてそのデータを22の気候モデルから得られた気温予測と組み合わせることで、生物多様性の気候限界プロファイルを作成し、実現ニッチの限界を超える条件に曝露される種の累積率を明らかにした。その結果、生態学的集合体の前例のない温度への曝露は突然起こる可能性があり、集合体に含まれる種の大半がそうした温度を経験するタイミングのずれは互いに10年以内であることが明らかになった。2°Cを超える温暖化では、突然の大規模な生物多様性曝露のリスク地域(10年以内に20%以上の種が前例のない温度にさらされる地域)は急速に拡大すると予測され、4°Cの温暖化では、そうしたリスクは全球の生物種集合体の15%に及び、影響のレベルは保護区でも非保護区でも同等となる。
2020年4月23日号の Nature ハイライト
天文学:遠く離れた連星系からの接触連星小惑星の形成
ナノスケール材料:二次元における電子相関の光学分光測定
物性物理学:スピン流を制御する強誘電体的な秩序
生態学:生物多様性の気候限界を超える
進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない
考古学:洗っていない土器は歴史に残る
がん:高頻度変異はグリオーマの進行と再発を形作る
がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する
生化学:ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは脂質の生合成を促進する
細胞分裂:時期尚早な姉妹染色分体分離を防ぐための第2の機構
細胞分裂:セパラーゼは有糸分裂にかける最短時間を調節する