Nature ハイライト
進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない
Nature 580, 7804
生物の形態を決めるものは何なのか。アリや寄生バチの種類は無数にあるのに、シーラカンスは2種しか現生していないのはなぜか。これらの疑問のうち少なくともいくつかについては、その根底に種分化と絶滅の速度の変動を見積もる必要性がある。しかし、このような速度を見積もるのは困難であることがよく知られている。S LoucaとM Pennellは今回、そのような不確実性の厳しい現実を明らかにしている。彼らはどんな種分化–絶滅モデルにも、代替となる出生–死亡モデルが無数に存在し、それらは候補モデルとしてどんな現生種の時間系統樹も同等にうまく説明し得ることを突き止めた。我々に集められるデータはこうした研究に不適格であるだけでなく、驚くことにデータ量が無限にあっても、ある系統樹を作り出すシナリオ同士を区別するには不十分なのである。
2020年4月23日号の Nature ハイライト
天文学:遠く離れた連星系からの接触連星小惑星の形成
ナノスケール材料:二次元における電子相関の光学分光測定
物性物理学:スピン流を制御する強誘電体的な秩序
生態学:生物多様性の気候限界を超える
進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない
考古学:洗っていない土器は歴史に残る
がん:高頻度変異はグリオーマの進行と再発を形作る
がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する
生化学:ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは脂質の生合成を促進する
細胞分裂:時期尚早な姉妹染色分体分離を防ぐための第2の機構
細胞分裂:セパラーゼは有糸分裂にかける最短時間を調節する