Nature ハイライト

がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する

Nature 580, 7804

R Flavellたちは今回、腸の間葉系ニッチが腫瘍のイニシエーションを制御する仕組みについて示している。シクロオキシゲナーゼ-2[プロスタグランジンE2(PGE2)を産生する酵素]を発現するまれな繊維芽細胞集団が腫瘍形成を促進することが分かった。マウスモデルにおいてシクロオキシゲナーゼ-2をコードするPtgs2遺伝子を除去すると、腫瘍発生が抑制された。PGE2は、YAPシグナル伝達を活性化することにより、Sca-1+予備幹細胞様の集団の増殖を引き起こし、このシグナル伝達活性化は、これらの腫瘍開始細胞におけるPGE2受容体PTGER4の発現に依存していた。患者由来オルガノイドの解析からは、これらの経路がヒトでも幹細胞を調節していることが示された。従って、シクロオキシゲナーゼ-2を発現する繊維芽細胞の小集団は、腸の腫瘍開始細胞に対してパラクリン制御を行っている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度