Nature ハイライト
がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する
Nature 580, 7804
R Flavellたちは今回、腸の間葉系ニッチが腫瘍のイニシエーションを制御する仕組みについて示している。シクロオキシゲナーゼ-2[プロスタグランジンE2(PGE2)を産生する酵素]を発現するまれな繊維芽細胞集団が腫瘍形成を促進することが分かった。マウスモデルにおいてシクロオキシゲナーゼ-2をコードするPtgs2遺伝子を除去すると、腫瘍発生が抑制された。PGE2は、YAPシグナル伝達を活性化することにより、Sca-1+予備幹細胞様の集団の増殖を引き起こし、このシグナル伝達活性化は、これらの腫瘍開始細胞におけるPGE2受容体PTGER4の発現に依存していた。患者由来オルガノイドの解析からは、これらの経路がヒトでも幹細胞を調節していることが示された。従って、シクロオキシゲナーゼ-2を発現する繊維芽細胞の小集団は、腸の腫瘍開始細胞に対してパラクリン制御を行っている。
2020年4月23日号の Nature ハイライト
天文学:遠く離れた連星系からの接触連星小惑星の形成
ナノスケール材料:二次元における電子相関の光学分光測定
物性物理学:スピン流を制御する強誘電体的な秩序
生態学:生物多様性の気候限界を超える
進化学:現生種を見ても進化の歴史は分からない
考古学:洗っていない土器は歴史に残る
がん:高頻度変異はグリオーマの進行と再発を形作る
がん:間葉系ニッチは腸の腫瘍発生を制御する
生化学:ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは脂質の生合成を促進する
細胞分裂:時期尚早な姉妹染色分体分離を防ぐための第2の機構
細胞分裂:セパラーゼは有糸分裂にかける最短時間を調節する