Nature ハイライト
Cover Story:機能の回復:分化転換させたアストロサイトによるパーキンソン病で失われたニューロンの補充
Nature 582, 7813
パーキンソン病は、神経伝達物質であるドーパミンを産生するニューロンの脱落を特徴とする。この疾患の治療法はまだ見つかっておらず、現在の治療では症状の緩和に重点が置かれている。今回X Fuたちは、新たなニューロンを生み出して、この疾患で失われたニューロンを補充する方法を報告している。彼らは生きたマウスで、PTBと呼ばれるRNA結合タンパク質を枯渇させることによって、アストロサイトを機能性ニューロンへと効率よく変換できるワンステップの方法を立証した。パーキンソン病のマウスモデルでは、こうした新たなニューロンによってドーパミンが増加し、運動機能の一部が回復した。この手法は、in vitroでヒト細胞にも有効なので、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療法が得られる可能性がある。
2020年6月25日号の Nature ハイライト
天文学:前主系列星の残骸円盤内に見つかった惑星
量子物理学:安全な長距離量子鍵配送
化学:原子が動いて結合を形成する様子の観察
考古学:初期のマヤ人による大公共建造物
生態学:共生の秘密
健康科学:SARS-CoV-2の空気力学的性質
ウイルス学:SARS-CoV-2を迅速に再構築する逆遺伝学的手法
微生物学:胆汁酸が新たな微生物宿主を発見
遺伝学:全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の性特異的な影響における補体C4の役割
がん:がん代謝物によるDNA修復の調節