Nature ハイライト
量子物理学:安全な長距離量子鍵配送
Nature 582, 7813
量子鍵配送では、遠く離れたユーザー間で秘密鍵を共有できるようにすることで、理論的には安全な通信が可能になる。この技術の開発における主な障害は損失であり、安全に配送できる範囲が約100 kmに抑えられている。信号の中継は原理的には可能であるが、全体的な安全性に影響を及ぼすことなく行うことはまだ困難である。別の方法は、人工衛星を使って、地球上の遠く離れたユーザー2者へエンタングル光子対を直接送信することであり、これによってユーザー間の安全なリンクを確立できる。今回C PengとJ Panたちは、墨子衛星から中国のデリンハと南山にある1120 km離れた2つの地上観測所への、十分に効率の良いエンタングルメント配送を実現し、0.12ビット毎秒の速度で鍵を交換する安全なチャネルを確立している。従って今回の研究によって、衛星を利用したエンタングルメントによる安全な長距離量子鍵配送が実現されたことになる。
2020年6月25日号の Nature ハイライト
天文学:前主系列星の残骸円盤内に見つかった惑星
量子物理学:安全な長距離量子鍵配送
化学:原子が動いて結合を形成する様子の観察
考古学:初期のマヤ人による大公共建造物
生態学:共生の秘密
健康科学:SARS-CoV-2の空気力学的性質
ウイルス学:SARS-CoV-2を迅速に再構築する逆遺伝学的手法
微生物学:胆汁酸が新たな微生物宿主を発見
遺伝学:全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の性特異的な影響における補体C4の役割
がん:がん代謝物によるDNA修復の調節