Nature ハイライト
生態学:共生の秘密
Nature 582, 7813
サンゴは、自らが依存する共生藻類を排除することによって温度上昇などの環境ストレスに応答し、これはサンゴの「白化」、ひいては死につながる。サンゴと共生者の間の関係を理解するため、M HuとY Zhengたちは今回、ソフトコーラルであるウミアザミ属(Xenia)の1種に関してゲノムの塩基配列解読を行い、この種をモデルとして用いて藻類との共生に関連する細胞集団が胃腔の内層にあることを見いだしている。これらの細胞は、藻類を取り込むための細胞の拡大や、藻類が生息可能な区画の維持を担う遺伝子を発現することが明らかになった。これらの細胞は、共生前か、安定的に共生中か、共生後かによって区別される複数の状態で存在している。今回明らかになった細胞内共生に関連する保存された遺伝子群は、異なるサンゴでの内部共生者の獲得や喪失に共通する原理の解明に道を開くものである。
2020年6月25日号の Nature ハイライト
天文学:前主系列星の残骸円盤内に見つかった惑星
量子物理学:安全な長距離量子鍵配送
化学:原子が動いて結合を形成する様子の観察
考古学:初期のマヤ人による大公共建造物
生態学:共生の秘密
健康科学:SARS-CoV-2の空気力学的性質
ウイルス学:SARS-CoV-2を迅速に再構築する逆遺伝学的手法
微生物学:胆汁酸が新たな微生物宿主を発見
遺伝学:全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の性特異的な影響における補体C4の役割
がん:がん代謝物によるDNA修復の調節