Nature ハイライト

生態学:共生の秘密

Nature 582, 7813

サンゴは、自らが依存する共生藻類を排除することによって温度上昇などの環境ストレスに応答し、これはサンゴの「白化」、ひいては死につながる。サンゴと共生者の間の関係を理解するため、M HuとY Zhengたちは今回、ソフトコーラルであるウミアザミ属(Xenia)の1種に関してゲノムの塩基配列解読を行い、この種をモデルとして用いて藻類との共生に関連する細胞集団が胃腔の内層にあることを見いだしている。これらの細胞は、藻類を取り込むための細胞の拡大や、藻類が生息可能な区画の維持を担う遺伝子を発現することが明らかになった。これらの細胞は、共生前か、安定的に共生中か、共生後かによって区別される複数の状態で存在している。今回明らかになった細胞内共生に関連する保存された遺伝子群は、異なるサンゴでの内部共生者の獲得や喪失に共通する原理の解明に道を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度