Nature ハイライト
微生物学:胆汁酸が新たな微生物宿主を発見
Nature 582, 7813
腸内細菌を遺伝的に操作しようとしても、良いツールがないことやこれらの微生物の多くが遺伝的に扱いにくいことから制約があるが、これらの微生物の多くは、宿主のいくつかの生理過程を調節する重要な代謝物を産生している。今回M Fischbachたちは、シンデンス菌(Clostridium scindens)の胆汁酸を脱ヒドロキシ化する代謝経路の還元反応部分について、詳しく調べて報告を寄せている。これによって、非常に豊富に存在する二次胆汁酸デオキシコール酸とリトコール酸の合成に関わる酵素や反応段階が、全面的に解明された。著者たちはまた、遺伝的操作によってこの経路を異種宿主であるスポロゲネス菌(Clostridium sporogenes)に導入すると、この菌がマウスで、デオキシコール酸とリトコール酸を産生できるようになることを明らかにしている。これは重要な概念実証実験であり、産生能力のない共生細菌を遺伝的に操作して、生理的に重要な代謝物の産生能を付与できることが実証された。
2020年6月25日号の Nature ハイライト
天文学:前主系列星の残骸円盤内に見つかった惑星
量子物理学:安全な長距離量子鍵配送
化学:原子が動いて結合を形成する様子の観察
考古学:初期のマヤ人による大公共建造物
生態学:共生の秘密
健康科学:SARS-CoV-2の空気力学的性質
ウイルス学:SARS-CoV-2を迅速に再構築する逆遺伝学的手法
微生物学:胆汁酸が新たな微生物宿主を発見
遺伝学:全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の性特異的な影響における補体C4の役割
がん:がん代謝物によるDNA修復の調節