Nature ハイライト
Cover Story:小塊形成システム:細菌集団の代謝を駆動するマンガン酸化
Nature 583, 7816
必要なエネルギーをマンガンの酸化によって得ることのできる微生物が存在する可能性は、かねてから示唆されてきた。今回H YuとJ Leadbetterは、マンガンの酸化から得られる自由エネルギーを用いて増殖とバイオマスへの無機炭素の固定を駆動する2種の細菌の共培養について報告している。これらの細菌はこうした酸化を介して、ばらばらの巨視的なマンガン酸化物の小塊を作る(表紙)。著者たちが「Candidatus Manganitrophus noduliformans」とRamlibacter lithotrophicusと名付けたこの2種の細菌は、マンガン独立栄養生物として共に増殖する。前者は後者からまだ単離されておらず、後者は、単離された状態ではマンガンを酸化しない。この発見は、生命を支える既知の無機代謝の数を増やすとともに、深海底におけるマンガン団塊の形成の解明に影響してくる。
2020年7月16日号の Nature ハイライト
物性物理学:相関グラフェンにおける相の競合
物性物理学:金属性グラフェンの超伝導
触媒:Ni担持触媒上における窒素空孔を用いる高効率のアンモニア合成
超分子化学:分子集合体の鎖をつなぐ
古生物学:恐竜の卵は最初は軟らかかった
古生物学:南極で見つかった白亜紀の巨大な卵
神経科学:脳に侵入するタンパク質を可視化する
コロナウイルス:COVID-19の重症度に影響を及ぼす宿主とウイルスのパターン
微生物学:腸における微生物相を介した交感神経系の調節
免疫学:自己免疫のリスク座位はTreg細胞特異的なエンハンサー機能と関連する