Nature ハイライト
微生物学:腸における微生物相を介した交感神経系の調節
Nature 583, 7816
D Mucidaたちは今回、腸の神経支配を行う交感神経ニューロン活動の調節における腸の微生物相の役割について実証している。腸の交感神経支配は、血流、腸の運動性、上皮分泌の制御に関与している。片利共生微生物による短鎖脂肪酸などの微生物シグナルの産生や、その後の感覚ニューロンの活性化は、交感神経ニューロンの脳幹GABA作動性抑制を引き起こすのに十分であり、これによって次に内在性腸ニューロンが調節される。無菌状態あるいはディスバイオーシスの際には、腸に投射している交感神経系が過剰に活性化される。微生物シグナルと自律神経系の調節を統合する回路の特性解析は、腸の運動性、内臓痛、腸免疫、腸–脳軸に関係する全身性疾患を調節する手掛かりになり、新しい治療戦略の開発にも寄与する可能性がある。
2020年7月16日号の Nature ハイライト
物性物理学:相関グラフェンにおける相の競合
物性物理学:金属性グラフェンの超伝導
触媒:Ni担持触媒上における窒素空孔を用いる高効率のアンモニア合成
超分子化学:分子集合体の鎖をつなぐ
古生物学:恐竜の卵は最初は軟らかかった
古生物学:南極で見つかった白亜紀の巨大な卵
神経科学:脳に侵入するタンパク質を可視化する
コロナウイルス:COVID-19の重症度に影響を及ぼす宿主とウイルスのパターン
微生物学:腸における微生物相を介した交感神経系の調節
免疫学:自己免疫のリスク座位はTreg細胞特異的なエンハンサー機能と関連する