Nature ハイライト
エネルギー科学:高速充電電池のアノード
Nature 585, 7823
リチウムイオン電池に最も広く用いられているアノードはグラファイトである。しかし、高速充電電池の需要が増す中、グラファイトの使用によって、好ましくないリチウム析出やそれに伴う安全性といった問題が生じる可能性が高い。そのため、インターカレーション速度の速い低電位アノードの探索が進められている。今回P Liuたちは、これまでアノード材料ではなくカソード材料として広く研究されてきたバナジウム系リチウム過剰不規則岩塩型酸化物が、この要求にかなう可能性があることを示している。このアノードをニッケル過剰層状酸化物カソードと組み合わせたところ、高速で十分なサイクル寿命を示す3.25 Vのフルセルが実現された。今回の研究結果は、50年近くカソード材料として研究されてきた材料の新たな用途を提案するものである。
2020年9月3日号の Nature ハイライト
原子物理学:高精度測定によって原子質量の合計を修正する
流体力学:上下逆転した世界
材料科学:連続波緑色ペロブスカイトレーザー
エネルギー科学:高速充電電池のアノード
細胞生物学:機能的シンシチウムを形成する網膜周皮細胞
神経変性疾患:C9orf72の喪失は炎症の抑制を解く
微生物学:腸の微生物による脳炎惹起性T細胞の活性化
腫瘍生物学:保護的な代謝環境がリンパ節転移を助長する
生化学:膜を突き抜けるデザイナーチャネル