Nature ハイライト
細胞生物学:機能的シンシチウムを形成する網膜周皮細胞
Nature 585, 7823
多くのin vitro研究から、隣接していない2つの細胞を連結して相互作用を助け、シグナルや物質、ときには細胞小器官をも移動させる細長い膜質コミュニケーショントンネルとして機能するトンネルナノチューブ(TNT)が明らかになっているが、生体内にもそうした構造が存在し、機能していることを示す証拠はこれまでなかった。今回A Di PoloとL Alarcon-Martinezたちは、マウス網膜で、TNTが異なる毛細血管系にある周皮細胞を連結して機能的ネットワークを形成し、これが局所的な神経血管連関を制御して、隣接毛細血管間で光応答を協調させていることを示している。こうした周皮細胞間TNT(IP-TNT)は、終末部が閉じていて、ギャップ結合を介して遠位の周皮細胞と連結しており、ミトコンドリアなどの細胞小器官を運搬するとともに、一過性カルシウム上昇の経路になっている。
2020年9月3日号の Nature ハイライト
原子物理学:高精度測定によって原子質量の合計を修正する
流体力学:上下逆転した世界
材料科学:連続波緑色ペロブスカイトレーザー
エネルギー科学:高速充電電池のアノード
細胞生物学:機能的シンシチウムを形成する網膜周皮細胞
神経変性疾患:C9orf72の喪失は炎症の抑制を解く
微生物学:腸の微生物による脳炎惹起性T細胞の活性化
腫瘍生物学:保護的な代謝環境がリンパ節転移を助長する
生化学:膜を突き抜けるデザイナーチャネル