Nature ハイライト
流体力学:上下逆転した世界
Nature 585, 7823
直観的には、液体は通常、その液体が入っている容器の下側部分を占め、浮力のある物体はこの液体の上側の自由表面に浮かぶと考えられている。今回B Apffelたちは、この直観を文字通り逆転させている。振動が、密度の高い流体を密度の低い流体の上で(それが気相であっても)安定化させ、高密度相を効果的に「浮揚させる」手段になることは、以前の研究で示されていた。ところが今回、そうした浮揚液相の下側表面の浮力は、あたかも重力自体が逆転したように振る舞うことが分かった。つまり、物体はこの界面で上下逆さまに浮くことができ、従来の振動していない液相の上面で生じる現象の鏡像になるのである。
2020年9月3日号の Nature ハイライト
原子物理学:高精度測定によって原子質量の合計を修正する
流体力学:上下逆転した世界
材料科学:連続波緑色ペロブスカイトレーザー
エネルギー科学:高速充電電池のアノード
細胞生物学:機能的シンシチウムを形成する網膜周皮細胞
神経変性疾患:C9orf72の喪失は炎症の抑制を解く
微生物学:腸の微生物による脳炎惹起性T細胞の活性化
腫瘍生物学:保護的な代謝環境がリンパ節転移を助長する
生化学:膜を突き抜けるデザイナーチャネル