Nature ハイライト
発生生物学:胚発生過程での中間径フィラメントの新たな役割
Nature 585, 7825
中間径フィラメントは、細胞骨格の3つの主要構成要素の1つである。これらのフィラメントに起因する主な機能は構造的支持の一端を担うことだが、多くのシグナル伝達事象において重要な調節の役割も担っている。N Plachtaたちは今回、中間径フィラメントの一種であるケラチンが、哺乳類の胚形成の際に起こる既知で最初の細胞運命決定における運命決定因子であることを明らかにしている。初期胚では、ケラチンは細胞分裂の際に娘細胞間に非対称に分配されることが分かった。次に、この非対称な分配によって胚の最初の細胞系譜決定が引き起こされ、ケラチンを多く受け継いだ細胞は栄養外胚葉のアイデンティティーを持つようになり、ケラチンの量が少ない細胞は内部細胞塊の運命をたどる。以上よりこの研究は、胚発生における最初期の分子事象および細胞事象についての理解を深め、細胞系譜を指定する上で中間径フィラメントが果たす新たな役割を明らかにしている。
2020年9月17日号の Nature ハイライト
天文学:白色矮星をトランジットする巨大惑星
光物理学:世界最小の超音波検出器
ナノスケール材料:昆虫の眼から着想を得た機能性ナノ被覆層
発生生物学:胚発生過程での中間径フィラメントの新たな役割
ヘルスケア:中国のCOVID-19封じ込めのモデル化
代謝:OPN5を介したマウスの光応答性中枢神経軸
発生生物学:内皮細胞の可塑性を操作する
腫瘍生物学:皮膚がん構造の機械的調節
がん:がんにおけるゲノム不安定性の機構的脆弱性
構造生物学:αシヌクレインを間近に見る