Nature ハイライト
免疫学:肝臓–脳–腸神経相関による腸の末梢性制御性T細胞の調節
Nature 585, 7826
神経免疫相互作用の理解における最近の進歩にもかかわらず、腸と脳がどのように情報交換を行って腸の免疫恒常性を維持したり、炎症性腸疾患の発症を防いだりしているのかは依然として分かっていない。寺谷俊昭(慶應義塾大学)たちは今回、腸の微小環境を感知して、末梢性制御性T(pTreg)細胞の存在や数を調節する中継場所が、肝臓であることを明らかにしている。pTreg細胞の恒常性は、肝臓の迷走神経求心路と腸の抗原提示細胞によるアルデヒドデヒドロゲナーゼの発現に依存していることが分かった。肝臓のこの迷走神経求心路を選択的に遮断すると、局所でのpTreg細胞の減少が引き起こされて実験的大腸炎が増悪することが示された。この結果は、腸の炎症性疾患の制御に肝臓–脳–腸神経相関が関与していることを示唆している。
2020年9月24日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:三次回路素子を用いた脳型コンピューティング
材料科学:自己集合コロイドダイヤモンド
気候科学:森林再生による炭素蓄積速度のマッピング
保全:陸域の生物多様性の減少傾向を反転させる大胆な取り組み
植物生物学:OSCAチャネルと植物の免疫
発生生物学:培養皿でミニ腸を作製
コロナウイルス:非ヒト霊長類におけるCOVID-19治療薬の試験
コロナウイルス:クロロキンはTMPRSS2を発現する細胞ではSARS-CoV-2を阻害しない
免疫学:肝臓–脳–腸神経相関による腸の末梢性制御性T細胞の調節
生物工学:酵母で医薬品工場