Nature ハイライト
植物生物学:OSCAチャネルと植物の免疫
Nature 585, 7826
気孔は葉などの植物組織にある小さな開口部であり、植物は生理的調節のために、あるいは生物ストレスや非生物ストレスに対する応答として気孔を開閉できる。分子レベルでは、PAMP(病原体関連分子パターン)に対する気孔の応答において、孔辺細胞の細胞膜を透過してカルシウムイオン(Ca2+)の急激な流入が起こるが、この過程を調節するCa2+チャネルの正体は不明であった。C Zipfelたちは今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、Ca2+透過性チャネルOSCA1.3が気孔の閉鎖を制御して、植物の免疫応答の一端を担っていることを明らかにしている。細菌のPAMPであるflg22が認識されると、細胞質のキナーゼBIK1が数分以内にOSCA1.3に結合してこれをリン酸化し、そのチャネル活性を高めることが分かった。この応答は非生物ストレス要因であるアブシジン酸では起こらない。
2020年9月24日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:三次回路素子を用いた脳型コンピューティング
材料科学:自己集合コロイドダイヤモンド
気候科学:森林再生による炭素蓄積速度のマッピング
保全:陸域の生物多様性の減少傾向を反転させる大胆な取り組み
植物生物学:OSCAチャネルと植物の免疫
発生生物学:培養皿でミニ腸を作製
コロナウイルス:非ヒト霊長類におけるCOVID-19治療薬の試験
コロナウイルス:クロロキンはTMPRSS2を発現する細胞ではSARS-CoV-2を阻害しない
免疫学:肝臓–脳–腸神経相関による腸の末梢性制御性T細胞の調節
生物工学:酵母で医薬品工場