Nature ハイライト
コロナウイルス:クロロキンはTMPRSS2を発現する細胞ではSARS-CoV-2を阻害しない
Nature 585, 7826
クロロキンは、培養Vero細胞において重症急性呼吸器コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染を阻害することがこれまでに報告されており、SARS-CoV-2感染によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療を目的として、ヒト臨床試験が行われている。S Pöhlmannたちは今回、SARS-CoV-2を切断し、肺細胞への侵入を活性化する細胞性プロテアーゼTMPRSS2を発現するヒト肺細胞株では、クロロキンが、このウイルスを阻害しないことを示している。また、TMPRSS2を発現するように操作したVero細胞でも、クロロキンはウイルスの複製を阻害しなかった。これらの知見から、クロロキンは肺細胞では働いていないウイルス侵入経路を標的とするらしいことが明らかになり、著者たちは、抗SARS-CoV-2薬候補の研究には適切なタイプの細胞を使うべきであると注意を促している。
2020年9月24日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:三次回路素子を用いた脳型コンピューティング
材料科学:自己集合コロイドダイヤモンド
気候科学:森林再生による炭素蓄積速度のマッピング
保全:陸域の生物多様性の減少傾向を反転させる大胆な取り組み
植物生物学:OSCAチャネルと植物の免疫
発生生物学:培養皿でミニ腸を作製
コロナウイルス:非ヒト霊長類におけるCOVID-19治療薬の試験
コロナウイルス:クロロキンはTMPRSS2を発現する細胞ではSARS-CoV-2を阻害しない
免疫学:肝臓–脳–腸神経相関による腸の末梢性制御性T細胞の調節
生物工学:酵母で医薬品工場