Nature ハイライト

創薬:幻覚薬の幻覚をなくす

Nature 589, 7842

幻覚薬は、治療に役立つ可能性があるとして再評価が進められており、調べられている特性の1つが抗嗜癖効果である。今回D Olsonたちは、アルカロイドの一種で幻覚を誘発するイボガイン[キョウチクトウ科の植物イボガ(Tabernanthe iboga)に含まれる]を修飾して、水溶性で幻覚作用も毒性も持たないtabernanthalog(TBG)を作製している。マウスを使った行動実験で、TBGがアルコールやヘロインに対する探索行動を減らすのを助ける可能性が示された。この化合物はまた、抗うつ剤としても作用するらしい。TBGが作用する仕組みを解明するには、なすべきことがまだ多く残っているが、幻覚剤が、幻覚作用のない薬剤を作製する基盤として使えることが、今回の研究によって示された。

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