Nature ハイライト
創薬:幻覚薬の幻覚をなくす
Nature 589, 7842
幻覚薬は、治療に役立つ可能性があるとして再評価が進められており、調べられている特性の1つが抗嗜癖効果である。今回D Olsonたちは、アルカロイドの一種で幻覚を誘発するイボガイン[キョウチクトウ科の植物イボガ(Tabernanthe iboga)に含まれる]を修飾して、水溶性で幻覚作用も毒性も持たないtabernanthalog(TBG)を作製している。マウスを使った行動実験で、TBGがアルコールやヘロインに対する探索行動を減らすのを助ける可能性が示された。この化合物はまた、抗うつ剤としても作用するらしい。TBGが作用する仕組みを解明するには、なすべきことがまだ多く残っているが、幻覚剤が、幻覚作用のない薬剤を作製する基盤として使えることが、今回の研究によって示された。
2021年1月21日号の Nature ハイライト
物性物理学:バルク欠陥におけるトポロジカル状態
材料科学:機械的特性のエネルギー効率の高い遠隔再プログラムを可能にするメタマテリアル設計
触媒:α-炭化モリブデン表面の密集白金による安定した低温水性ガスシフト触媒
グローバルヘルス:低・中所得国における麻疹ワクチン接種の進捗状況
神経科学:自己と他者の位置を知る
発生生物学:1つよりも2つ:発生を守る遺伝子のペアリング
健康科学:妊娠中の胎仔に対する母体免疫応答性の調節
免疫学:ウイルスによって誘導されるオートファジーに関する知見
生体材料:タンパク質で作られた二次元材料
創薬:幻覚薬の幻覚をなくす