Nature ハイライト

微生物学:CRISPRを介した変異誘発

Nature 592, 7855

細菌のCRISPR–Cas免疫系は、主に侵入してきたファージやプラスミドの核酸特異的な分解において機能しているが、近年、CRISPR系にはいくつかの非カノニカルな役割もあると考えられるようになってきた。L Marraffiniたちは今回、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)のIII-A型CRISPR系のヌクレアーゼ活性が、細菌染色体の一般的な変異誘発も促進することを報告している。彼らは、Cas10の非特異的な一本鎖DNアーゼ活性が宿主ゲノムの変異率を上昇させ、これがSOS応答の誘導を介して起こることを示している。著者たちはさらに、不活性化されたCas10酵素との比較から、この変異誘発の亢進が、抗生物質やファージに対する抵抗性を付与する変異の増強など、適応挙動につながることを実証している。これらのデータは、III型CRISPR系が、免疫における役割に加えて、ストレスに対する適応も促す可能性があることを示唆している。

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