Nature ハイライト

腫瘍生物学:がん増殖のための競合

Nature 594, 7863

今週号の2報の論文では、腸腺腫のマウスモデルを用いて、正常な陰窩細胞と発がん性変異を持つ陰窩細胞の間の競合の根底にある機構が調べられている。発がん性Apc変異を持つ腸幹細胞は、野生型に対して競合優位性を持ち、1つの陰窩全体を占有して、腫瘍イニシエーションを促進することが知られている。今回P KatajistoとO Sansomの研究チーム、L Vermeulenたちの研究チームはそれぞれ、オルガノイドとマウスでのin vivo実験により、変異細胞は真正の超競合者(supercompetitor)として振る舞い、周囲の陰窩細胞の増殖を直接的に抑制して、それらの分化を促すことを示している。これはWNT経路アンタゴニストの分泌を介して起こり、変異細胞による腺腫のイニシエーションを可能にする。

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