Nature ハイライト
腫瘍生物学:がん増殖のための競合
Nature 594, 7863
今週号の2報の論文では、腸腺腫のマウスモデルを用いて、正常な陰窩細胞と発がん性変異を持つ陰窩細胞の間の競合の根底にある機構が調べられている。発がん性Apc変異を持つ腸幹細胞は、野生型に対して競合優位性を持ち、1つの陰窩全体を占有して、腫瘍イニシエーションを促進することが知られている。今回P KatajistoとO Sansomの研究チーム、L Vermeulenたちの研究チームはそれぞれ、オルガノイドとマウスでのin vivo実験により、変異細胞は真正の超競合者(supercompetitor)として振る舞い、周囲の陰窩細胞の増殖を直接的に抑制して、それらの分化を促すことを示している。これはWNT経路アンタゴニストの分泌を介して起こり、変異細胞による腺腫のイニシエーションを可能にする。
2021年6月17日号の Nature ハイライト
天文学:塵のベールによるベテルギウスの「大減光」
ナノスケール材料:精密な多重らせん超構造
画像化技術:ローカリゼーション原子間力顕微鏡法
水文学:全球の河川では間欠的な流れが一般的である
神経科学:扁桃体の拮抗する細胞クラスターによる恐怖状態の切り替え
コロナウイルス:デジタル接触追跡の効果
植物科学:生体分子凝縮物と植物の免疫
腫瘍生物学:がん増殖のための競合
腫瘍生物学:がん遺伝子は腸幹細胞ニッチの変化を推進する
構造生物学:学習と記憶の分子部品