Nature ハイライト

腫瘍生物学:がん遺伝子は腸幹細胞ニッチの変化を推進する

Nature 594, 7863

B Simonsたちは今回、新しく作製された遺伝子追跡マウスモデルを使って、正常な腸細胞と発がん性変異を持つ腸細胞との相互作用の基盤となる仕組みについて調べている。その結果、変異型幹細胞からなる腸陰窩は、周辺の陰窩のクローンの緩やかな変化(clonal drift)を加速するが、もっと離れた陰窩には影響しないことが明らかになった。この作用は、有効な幹細胞数の減少および陰窩の縮小と関連していて、パラクリンシグナル伝達(ストローマ細胞からのBMPやWntアンタゴニストの分泌)が介在している。このようなニッチの変化によって、変異型クローンが優勢となり、正常な腸幹細胞が犠牲となってその働きによる野生型組織の維持ができなくなる。

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