Nature ハイライト

構造生物学:学習と記憶の分子部品

Nature 594, 7863

AMPARはグルタミン酸受容体で、脳全体にわたって発現され、海馬での速い興奮性シナプス伝達を方向付けている。そのため、AMPARは学習と記憶に重要な役割を担っている。改変型AMPARの構造は、構造生物学の進歩によって明らかになったが、このような受容体は複雑であり、さまざまな構成状態や補助タンパク質群が各受容体の特異的な役割を決定している。今週号ではAMPAR複合体の構造に関する2報の論文が報告されている。E Gouauxたちは、マウス海馬からAMPAR複合体を単離し、クライオ電子顕微鏡法と一分子蛍光顕微鏡法を用いてAMPARの構成を決定して、それらの相対的な存在数を調べている。彼らはさらに、脳で補助タンパク質が働いてAMPAR活性を調節する仕組みを突き止め、また1つの受容体については小分子阻害剤による阻害機構も明らかにした。一方I Gregerたちは、前脳で圧倒的多数を占めるAMPAR複合体の活性状態の構造と休止状態の構造の両方を解明し、補助タンパク質がAMPARの活性を調節する仕組みを、生理的に適切な条件下で明らかにしている。

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