Nature ハイライト 材料:左手系の実用化への一歩 2005年11月17日 Nature 438, 7066 光の波長自体より小さい形状を結像させる「完全レンズ」の開発につながりそうな、特異な光学特性を持つ材料が作られた。 このような性質は負屈折、つまり電磁波が通常の材料中とは反対の方向に曲がることが可能な、いわゆる「左手系」材料に基づいている。負屈折はマイクロ波周波数では実現されていたが、可視光では達成されていなかった。A Grigorenkoたちは、左手系材料を作り出す上での必要条件である、負の透磁率が可視光波で実現されたことを報告している。透磁率とは、光波が通過するときその磁場に材料がどのように応答するかを記述する値で、材料の屈折率はその一部が透磁率で決まる。 Grigorenkoたちは、小さいガラス板全体を、金でできた高さが約100ナノメートルの微小なピラー構造で覆った。そして光がこの構造と相互作用すると、その磁場と反射特性が変化し、通常の金小片とは異なる挙動を示すことを見いだした。 「これは、それ自体が完全レンズなどの可視周波数用の新規光学部品に向けた特筆すべき一歩である」とR SamblesはNews and Viewsで述べている。 2005年11月17日号の Nature ハイライト 疫学:スーパースプレッディング現象の脅威と対策 工学:カオスから情報を取り出す 材料:左手系の実用化への一歩 発生:星状膠細胞発生制御におけるスターはSCL 気候:気候変動に対する地域ごとの取り組み : 目次へ戻る