Nature ハイライト

気候:気候変動に対する地域ごとの取り組み

Nature 438, 7066

気候変動が脅威となりつつある現在、各国の対応は極めて厳しい吟味を免れない。今週号のCommentaryの1つでは米国政府の2人の研究者が、2005年に襲来した複数のハリケーンは、こうした災害による生命および財産の喪失を小さくすることにかかわっている人々への警鐘であると述べている。もう1つでは、オランダの科学者と技術者が、世界で最も高い基準に従って築かれた堤防を越える洪水の高いリスクに対する、国家としての取り組みについて解説している。  「温室効果ガスの放出に起因する地球規模の気候変動が予想されるということは、気候および水文学上の重要な変数の変化を意味している」とP Kabatたちは述べている。彼らは、リスクを軽減するためにインフラストラクチャーがどのように使用されているかを調べ、オランダ政府とその国民が共に、他の国では行われていない「気候変動に対する抵抗力を備えた国づくり」に数百万ユーロを支出することを受け入れる理由を考察している。  A PatrinosとA Bamzaiは、気候研究と政策を結ぶ道筋は常にまっすぐとは限らないと論じている。彼らは、極端な気象に備えるために社会が強固なインフラストラクチャーを必要とする一方で、地域的な気候変動に対する政策を立てる際には、影響を受ける地域社会の脆弱さを考慮に入れることが不可欠であると考えている。これは、極度の貧困と干ばつをはじめとする自然災害で数百万人の命が奪われているアフリカのような大陸だけに留まらない。米国の沿岸地域の開発は過去30年間に4倍に拡大しており、約4500万人がハリケーンの被害を受けやすい海岸線地帯で危険な状況におかれている。

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