Nature ハイライト
神経:学習の面倒をみる分子
Nature 439, 7074
学習と記憶の基盤になると考えられているニューロン間の微小な結合の強度を調節する、ごく小型とはいえ影響力の大きいRNA分子が見つかった。 近年、マイクロRNAと呼ばれる短いRNA断片が植物や動物で発生のさまざまな過程を制御していることがわかってきた。今回M Greenbergたちは、このようなマイクロRNAの1つであるmiR-134が、ラットでニューロンの樹状突起棘の成長を阻害することを報告している。この突起棘は、シナプスに入ってくる電気信号を受け取っている。増殖因子でニューロンを刺激すると、この阻害が解除される。 樹状突起棘の大きさはシナプス強度と関連があると考えられているので、今回の結果から、miR-134はシナプスの強化と弱化という脳の記憶形成にかかわる過程を制御しており、おそらく他にもこのようなマイクロRNAがあることが示唆される。
2006年1月19日号の Nature ハイライト
海洋:海中の植物プランクトン分布に地球温暖化の影が忍び寄る
核物理:爆発する葉巻
分子生物:暗い夜を切り抜ける
神経:学習の面倒をみる分子
宇宙:塵となって地球に降り注いだ太古の小惑星
植物:ホルモン受容体の探索が実を結ぶ