Nature ハイライト
Cover Story:人工スピンアイス:フラストレーションを設計する
Nature 439, 7074
多数の相互作用が1つの系内部で競合すると、そのどれもが優勢になることができず、そのため「フラストレートした」力をどう解消するかが系全体のふるまいを決める重要な因子になる。特に、磁気系におけるスピン間の幾何学的フラストレーションからは、「スピンアイス」のようなエキゾチックな効果が生じることがある。この状態では、原子磁気モーメントが氷中の水素イオン位置のフラストレーションと似た状態になる。R Wangらは、リソグラフィー技術で作成したナノスケール磁石の配列を使って、人工スピンアイスを作った。この格子の磁気モーメントは、スピンアイスに特有な2-in 2-outの「アイスルール」に従う。このモデルによって、フラストレーションの極めて詳細な研究が可能になる。これは、強磁性素子が今まで以上に高密度に実装される磁気記録に直接関連してくる。表紙は、磁気力顕微鏡で撮った人工スピンアイスの磁化パターン像。平坦な部分と谷になった部分は、それぞれ逆向きに磁化された領域を示している(Letter p.303, News and Views p.273)。
2006年1月19日号の Nature ハイライト
海洋:海中の植物プランクトン分布に地球温暖化の影が忍び寄る
核物理:爆発する葉巻
分子生物:暗い夜を切り抜ける
神経:学習の面倒をみる分子
宇宙:塵となって地球に降り注いだ太古の小惑星
植物:ホルモン受容体の探索が実を結ぶ