Nature ハイライト

地球:メタン生成菌の最古の証拠

Nature 440, 7083

メタン生成菌(メタンを生成する微生物)は地球に最も古くから存在する生命体の1つであると考えられている。しかし、それが初めて出現した時期は正確にはわかっていなかった。今から38億?25億年前の始生代に存在していたという仮説を支持する地質学的な直接証拠を誰も見つけることができなかったのである。  しかし、上野雄一郎たちはあきらめずに研究を続け、西オーストラリアのピルバラ地塊で得られた約35億年前の熱水沈殿にメタンを含んだ流体包有物が存在するという証拠を発見した。そして炭素同位体組成により、このメタンが微生物起源であることが示された。  これは、メタン細菌の存在を示す最も古い証拠であり、これまでの地球化学的な状況証拠より約7億年もさかのぼる。微生物起源のメタンは、十分な量の温室効果ガスを供給して極寒の条件を軽減していた可能性があり、始生代の地球の気候を調節する上で重要であった可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度