Nature ハイライト 農学:イネ病原体の感染の仕組み 2006年3月23日 Nature 440, 7083 イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)はイネの主要な病原体であり、食物供給の安定性確保にとっての脅威でもある。N Talbotたちは、この菌がどのようにしてイネ植物体に侵入するのかを明らかにした。 この菌の遺伝子の塩基配列データからすると、分泌ペプチドが病原性の基盤となっていると考えられる。Talbotたちは、菌のタンパク質プロセシングを行うゴルジ体に存在するタンパク質MgAPT2が分泌に必要であることを示した。いもち病菌は、ゴルジ体に由来する小胞を使って毒性を持つペプチドを植物細胞の外側に輸送する。このペプチドはいもち病菌が植物細胞内へ侵入するのを助けるので、菌は植物の組織全体に広がることができる。MgAPT2はまた、植物細胞が防御応答を発動するのにも必要とされている。 2006年3月23日号の Nature ハイライト 医学:鳥インフルエンザ感染がヒトの間で広がらない理由 環境:保護地区だけではアマゾンを守れない 農学:イネ病原体の感染の仕組み 地球:メタン生成菌の最古の証拠 工学:チップの中へ光を押し込む 化学:ペダルの力 目次へ戻る