Nature ハイライト

宇宙:さらに深まる太陽系の酸素同位体の謎

Nature 440, 7085

太陽系を生み出した原始惑星系の化学組成を解明しようという取り組みが、謎に突き当たった。太陽の外層には、酸素同位体のうち最もありふれた成分の量が、太陽系の岩石と比べて少ないようなのだ。  太陽の外側の領域は、原始太陽系と同じ化学組成をもつと考えられている。太陽の外層の元素は、太陽風の荷電粒子の流れによって外に吹き飛ばされる。その原子の一部は月の岩石や土壌に取り込まれているので、アポロ計画で持ち帰られた試料を調べれば、太陽系の惑星の起源を間接的に研究することができる。  T Irelandたちは今回、試料に含まれる酸素の同位体である16O、17Oおよび18Oについて分析を行った。最も一般的な16Oは通常、ほかの2つの同位体の合計より約500倍多く存在する。しかしIrelandたちは、サンプルに含まれる16Oが予想より若干少ないことを見いだした。  「この結果は、太陽の構造と酸素同位体に関する現在の知識の範囲内では説明できない」とG R HussはNews and Viewsで語っている。今回の研究は本誌に以前掲載された研究に続くもので、以前の測定では、太陽の外層が太陽系の岩石よりも実際に多くの16Oを含んでいることが示唆されていた。

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