Nature ハイライト 進化:硬骨魚類の頭蓋の秘密を握る化石魚類 2006年5月4日 Nature 441, 7089 今回新たに発見された4億年以上前の化石魚類は、現在の地球で繁栄をとげた脊椎動物の2大系統の根元をつなぐ存在となるかもしれない。中国の雲南省で出土したこの化石魚類は、現生魚類の大部分を占める条鰭類硬骨魚と、現在の陸生脊椎動物の祖先を生み出した肉鰭類硬骨魚の両方の特徴をあわせもっている。 古代魚の化石として見つかったのは4体分の頭骨部分で、頭蓋は現生魚類の大部分を占める条鰭類のものとそっくりである。しかし、この頭蓋の細かい解剖学的特徴は、コズミンの進化上の起源に関する手がかりにもなりそうだ。コズミンとは、多くの化石肉鰭類(やがてここから陸生脊椎動物が現れた)にみられる固い体表組織である。 この特異な魚について報告しているM Zhuたちの説明によれば、コズミンの特徴は、体表組織内でみられる細孔と細管が網目状につながった構造と、それに重なるエナメル質を素材とする単層構造である。4億500万年前のこの化石では、細孔・細管の網目構造の上にエナメル質の層が数層重なっていることから、コズミンはこれらの層のうち1層だけを残してそれ以外のすべてが消失してできたと考えられる。 2006年5月4日号の Nature ハイライト 生態:温暖化に繁殖時期を合わせられない渡り鳥 宇宙:明らかになった土星の自転速度 医学:線虫は新薬の産みの親 工学:頼りになる分子デバイス 材料:本物の金属になりうるプラスチック 進化:硬骨魚類の頭蓋の秘密を握る化石魚類 目次へ戻る