Nature ハイライト

細胞:sticky変異の落とし穴

Nature 443, 7107

マウスの「sticky」変異は最近まで主に、毛がべたついて乱れているという外見で知られていた。しかも、その毛は徐々に失われていく。6週齢のときには興奮すると軽い震えが起き、8週齢に達するまでには進行性の運動失調が発症するが、これは小脳のプルキンエ細胞の消失と時を同じくして起こる。今回、このsticky変異が、アラニル転移RNA合成酵素の一塩基変異であることが突き止められた。変異の結果翻訳精度が低下してタンパク質が誤って折りたたまれ、異常なタンパク質がニューロンに蓄積するために細胞死が起こる。タンパク質の誤った折りたたみとニューロンの消失はヒトの多くの病気に関係しており、stickyマウスの特徴から、このような病気の一部がtRNA合成酵素を壊す変異による可能性が浮上してきた。

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