Nature ハイライト

生化学:H5N1ウイルスにタックル

Nature 443, 7107

H5N1鳥インフルエンザウイルスの型名は、ウイルス外被のタンパク質であるヘマグルチニン(haemagglutinin)のHとノイラミニダーゼ(neuraminidase)のNをとって命名されている。どちらのタンパク質にも、いくつかの異なる型がある。ノイラミニダーゼは、ウイルスが感染した細胞から脱出して新たな細胞を攻撃するのを助けるタンパク質で、抗インフルエンザ薬タミフル(オセルタミビル)とリレンザ(ザナミビル)の標的である。これらの薬剤はノイラミニダーゼN2とN9の結晶構造に基づいて設計されたが、その当時はこの2つしか構造が明らかになっていなかった。今回、N1、N4、N8の構造が決定された。先の2つの型と比較すると、これらには活性部位の隅にくぼみがあり、標的分子を固定するためにこのくぼみが閉じるという重要な相違点がある。この構造を活用してこの部位を標的とする薬剤を設計すれば、一部のウイルス株がタミフルに対して獲得した薬剤耐性を回避できるかもしれない。

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