Nature ハイライト 気候:湖の泡立ち 2006年9月7日 Nature 443, 7107 北シベリアで湖岸の凍った地面が溶けると、枯れた植物や動物の死骸が湖の底まで沈み、そこで分解されて強力な温室効果ガスであるメタンが生じる。メタンは泡となって湖の表面に上り、大気中に入って地球温暖化の一因となる。この現象は点々と散らばって起こるため測定が困難であり、このような泡の相対的な重要性はこれまでよくわかっていなかった。シベリアの湖で行われた新しい研究によって、その泡立ちがこれまで考えられてきたよりも大きな大気へのメタン供給源であり、北部湿地帯からの現行の放出量推定値を10パーセントから最大63パーセントまで増やす必要があることが示された。この地域で解氷湖が最近拡大したことでメタンの放出が著しく増加した可能性があり、解氷湖のメタンが地球温暖化に対する正のフィードバックとなりうる可能性が出てきた。 2006年9月7日号の Nature ハイライト 保全:自然への回帰 科学史:反射の理由 植物:オーキシンの作用 宇宙:宇宙風化を受けた小惑星 流体力学:乱流の持続時間 材料:お手ごろ価格の燃料電池を目指して 化学:容易になったキラル合成 気候:湖の泡立ち 生化学:RNAの品質管理 生化学:H5N1ウイルスにタックル 細胞:sticky変異の落とし穴 目次へ戻る