Nature ハイライト

進化:ネアンデルタール人の臼歯が語ること

Nature 444, 7120

誕生時の発育度、成熟速度、ひいては小児期の長さといった生活史や成長の重要な特徴は、歯にきめ細かく記録されており、エナメル質の毎日の成長線や臼歯の伸長、および歯根の形成の詳しい解析によって追跡することができる。知られるうちで現生人類に最も近い絶滅人類であるネアンデルタール人は、個体の成長が速くて小児期が非常に短かったと考えられてきた。この驚くべき結論が今回、ネアンデルタール人の臼歯に関する綿密な研究によって訂正された。ネアンデルタール人における臼歯の歯冠と歯根の完成時期は、現生人類におけるそれらの時期と一致しているが、ネアンデルタール人のほうがエナメル象牙境形態がより複雑で、臼歯の歯根伸長のピークが遅く、こうした点で両者は区別できる。

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