Nature ハイライト 宇宙:水星磁場の挙動を探る 2006年12月21日 Nature 444, 7122 地球磁場の挙動は、地球ダイナモの最新の数値モデルを使えばそこそこうまく説明できるが水星についてはもっとむずかしいことがわかっている。水星には、地球と同様に双極磁場があり、これはおそらく溶けた鉄のコア中の対流運動に起因するダイナモによって発生している。しかし水星の磁場は地球のものの100分の1以下であって、そのためダイナモ理論に疑問がもたれている。マリナー10号の接近通過で観測された磁場の強度と幾何学的構造を共に説明でき、その矛盾を解く新しい仮説が今回提案された。この新しいモデルは、コアの深部のみでダイナモが働いていて、強力な磁場を発生していると仮定している。コアのより外側の領域は安定な層状になっており、熱は対流させないが電導性はあるので、ダイナモにより発生する磁場は強く減衰される。水星に向かう途上にあるNASAの水星探査機Messengerとヨーロッパ宇宙機関が予定しているベピ・コロンボ計画で得られるデータを使えば、このモデルを徹底的に検証できるはずだ。 2006年12月21日号の Nature ハイライト 運動学:無理をしたがる人々 生物保全:オオトカゲの「処女降誕」 がん:血液供給を妨げる 医学:老化に関する2説 宇宙:持続時間の問題ではない? 宇宙:水星磁場の挙動を探る 物理:自由中性子のベータテスト 神経:聴覚神経のチューニング 細胞:ボツリヌス毒素 目次へ戻る