Nature ハイライト

神経:内在性カンナビノイドをねらえ

Nature 445, 7128

脳の線条体における2つのニューロン経路、つまり「直接」運動経路と「間接」運動経路の活動の不つり合いが、パーキンソン病でみられる運動障害の原因だという説が提案されている。今回、遺伝子操作マウスを用いた研究で、この2つの経路に含まれるニューロン集団に重要な違いがあることが明らかになった。特に、線条体に顕著な内在性カンナビノイド仲介性長期抑制(eCB-LTD)というシナプス可塑性は、間接経路のニューロンでしかみられない。パーキンソン病のマウスモデルに、ドーパミンD2受容体アゴニストや内在性カンナビノイド分解阻害薬を投与してeCB-LTDを「回復」させてやると、運動機能の著しい改善がみられた。この結果は、線条体でのドーパミンの大きな役割が、間接経路シナプスでのeCB-LTDの促進にあることを示唆している。内在性カンナビノイドの分解系を標的にした薬物は、パーキンソン病治療の新たな手段となるかもしれない。

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