Nature ハイライト 免疫:キチンアレルギー 2007年5月3日 Nature 447, 7140 ヒトのアレルギーや喘息を引き起こす環境中の抗原のかなりの割合を占めているのが、昆虫、甲殻類、蠕虫類、真菌にかかわる抗原である。このように幅広く分布している物質をつなぐ共通因子はまだわかっていないが、疑いをかけられているものの1つがキチンである。キチンは自然界での存在量が2番目に多い重合体であり、数多くの細胞の細胞壁や堅い外骨格がもつ、浸透圧への安定性や引っ張り強度のもとになっている。今回Reeseたちは、キチンを投与したマウスでは、インターロイキン4を発現する自然免疫細胞の増加を特徴とするアレルギー反応が生じることを発見した。分解酵素であるキチナーゼの投与で、このアレルギー反応は起こらなくなる。貝類や甲殻類加工業など、キチン濃度の高い環境で働く職業に喘息患者が多いことからも、この経路はヒトのアレルギー疾患にかかわっていると考えられる。 2007年5月3日号の Nature ハイライト 化学:112番元素の化学的性質 医学:翻訳を正常に終結させるPTC124 細胞:世界中の光を集める 宇宙:火星の氷を掘り出そう 物理:反強磁性を自在に制御する 地球:地震の新しいカテゴリー 生態:水不足の熱帯 免疫:キチンアレルギー 目次へ戻る