Nature ハイライト 宇宙:火星の氷を掘り出そう 2007年5月3日 Nature 447, 7140 理論モデルでは、火星の地下で水氷が安定に存在する深さは、岩石や斜面といった局地的な表面地形や、その水氷を覆っている地表の熱慣性によって変化すると予測されている。今のところ測定は、探査機マーズ・オデッセイに搭載されたガンマ線分光器でカバーできる数百キロメートルの範囲を俯瞰した結果に限られている。しかし、J Bandfieldは今回、オデッセイのTHEMISパッケージを使って得られた火星の地表温度の季節応答を使い、1キロメートル以下のスケールで水氷分布の地図を作製した。この観測結果によって、今年後半に打ち上げ予定のマーズ・フェニックス計画の着陸候補地点で、水氷の深さが地域的局所的に大幅に変化しているのが明らかになった。フェニックス探査機のロボットアームを使えば、深さ50センチメートル程度まで土壌を掘削して水氷を探すことができるため、今回の観測結果からすると、氷の層までの深さがかなり変化しているのが見つかるかもしれない。 2007年5月3日号の Nature ハイライト 化学:112番元素の化学的性質 医学:翻訳を正常に終結させるPTC124 細胞:世界中の光を集める 宇宙:火星の氷を掘り出そう 物理:反強磁性を自在に制御する 地球:地震の新しいカテゴリー 生態:水不足の熱帯 免疫:キチンアレルギー 目次へ戻る