Nature ハイライト

Cover Story:寿命を延ばす:食餌制限が長寿のスイッチを入れる仕組み

Nature 447, 7144

厳しいカロリー制限は、マウスなどの生物で寿命を延長するが、食餌を厳しく制限された状態が寿命を延長する仕組みについてはわかっていなかった。今回ついに、加齢研究でよく使われる線虫(C. elegans)で、カロリー制限と寿命延長との特異的な関連が2つの論文により明らかにされた。N BishopとL Guarenteは、線虫の頭部に存在するASIニューロンの転写因子SKN-1が食餌制限により活性化され、これが代謝活性を高めるシグナルを末梢組織に出すことを明らかにした。この機構から、内分泌系の関与が考えられる。Panowskiたちは、頭部と尾部の少数の細胞や腸で認められる転写因子であるPHA-4の活性亢進も、食餌制限による寿命延長に不可欠であることを報告している。PHA-4は哺乳類のFoxa転写因子に類似しており、Foxaは哺乳類で発生に影響を与え、絶食時のグルカゴンとグルコースの量を制御している。このような関連が明らかになったことで、カロリー制限の効果を模倣する薬物の開発が期待される。表紙は線虫の胚の画像で、PHA-4が緑色に標識されている [Articles pp.545, 550, News & Views p.536]。

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