Nature ハイライト 地球:局地的だった水フィルター 2007年6月21日 Nature 447, 7147 2003年、D Bercoviciと唐戸俊一郎は、地球マントルの分化を説明するモデルを提案したが、このモデルには異論が多い。彼らが提案した「水フィルター」モデルでは、メルトを含む層が深さ410 kmのマントルの地震学的不連続面の直上にあるとしているが、この層の地球物理学的な検出は難しいことがわかっている。D ToffelmierとJ Tyburczyは、磁気による地域的な測深データと、上部マントルと遷移層の条件での水素を含んだ鉱物の電気伝導度の推定値とを組み合わせることで、この問題に取り組んだ。その結果、深さ410 kmのところにある5〜30 kmの厚さのメルト層は米国南西部(ツーソン)で得られたデータとは一致するが、彼らが調べた他の地域のデータセットはそのようなメルト層の存在を必要としないことがわかった。したがって、このモデルで仮定された遷移層の水フィルターは局地的なものであり、全球的な性質ではないようである。 2007年6月21日号の Nature ハイライト 微生物:いることがわかったからには 医学:有望なメタボ治療薬 医学:癌モデルの改良 材料:液体工学 化学:よりよいバイオ燃料を目指して 地球:局地的だった水フィルター 環境:窒素は回る 進化:有胎盤類は北半球出身 目次へ戻る