Nature ハイライト

進化:ずる賢いごまかし

Nature 451, 7182

単細胞生物から多細胞生物への移行では、協力の進化が重要な役割を果たしている。他者の協力によって恩恵を受けながら何も見返りを提供しないという「ごまかし」を行う変異体細胞は、協力を徐々に損なうと見なされている。しかし、社会性粘菌であるキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)の研究は、この見方に疑問を投じている。ゲノム全体にわたって調べた結果、ごまかしを可能にする変異が100種類以上見つかった。これらの多くは、独特で賢いごまかしで、他者を条件的にごまかす一方で、ごまかし屋同士は協力し合い、一般と同じ成長をする。今回の知見は、ごまかしは協力関係の存在を脅かすとする見方を疑問視するものだ。このキイロタマホコリカビの系では条件的ごまかし屋が優勢になるが、彼らは協力関係を保ったまま集団内で勢力を拡大できるのである。

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