Nature ハイライト 進化:ずる賢いごまかし 2008年2月28日 Nature 451, 7182 単細胞生物から多細胞生物への移行では、協力の進化が重要な役割を果たしている。他者の協力によって恩恵を受けながら何も見返りを提供しないという「ごまかし」を行う変異体細胞は、協力を徐々に損なうと見なされている。しかし、社会性粘菌であるキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)の研究は、この見方に疑問を投じている。ゲノム全体にわたって調べた結果、ごまかしを可能にする変異が100種類以上見つかった。これらの多くは、独特で賢いごまかしで、他者を条件的にごまかす一方で、ごまかし屋同士は協力し合い、一般と同じ成長をする。今回の知見は、ごまかしは協力関係の存在を脅かすとする見方を疑問視するものだ。このキイロタマホコリカビの系では条件的ごまかし屋が優勢になるが、彼らは協力関係を保ったまま集団内で勢力を拡大できるのである。 2008年2月28日号の Nature ハイライト 宇宙:でっかくなるきっかけ 遺伝:多発性硬化症の薬物標的を突き止める 進化:ずる賢いごまかし 生理:ゴミを入れれば、すべてが解決 材料:長さスケールをマッチさせる 生態:野生のレヴィウォーク 進化:ベーツ型擬態のパラドックスを解消 細胞:BRCA2変異がんが治療耐性を獲得する仕組み 植物:性の正反対 目次へ戻る