Nature ハイライト

進化:ベーツ型擬態のパラドックスを解消

Nature 451, 7182

捕食者にとって「おいしく食べられる」種の多くは、警告色をもった「まずい」有毒な種(モデル)に似るように進化する。こうした「ベーツ型擬態者」は危険なモデルに自らを似せることで利益を得るので、理論的には、モデルが存在しない地域では捕食者は危険な種もしくはそれに似た種を避けるような選択にさらされないため、擬態者は生じないと予測される。しかし、この理論と一見矛盾するようにみえるが、多くの擬態者の地理的分布はそのモデルの分布域よりもずっと広い。無毒なスカーレットキングヘビがその一例である。この種は、そのモデルである有毒なハーレクインサンゴヘビの分布域から数百キロメートルも離れたところで見つかることがある。G HarperとD Pfennigは、この見かけ上のパラドックスを理論の基盤を損なわずに説明できることを明らかにした。初期にはキングヘビとサンゴヘビの両方が生息する地域から雄キングヘビが分散するために、サンゴヘビがいない地域で擬態者である無毒なキングヘビが見つかる。サンゴヘビの分布域から外れてしまうと、キングヘビにはモデルと似ない方向に進化を促進させる自然選択が働くことが、遺伝解析からわかった。

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