Nature ハイライト 疫学:学校閉鎖の効果 2008年4月10日 Nature 452, 7188 インフルエンザの世界的大流行の予測に直面して公衆衛生当局が採ることのできる選択肢の1つが、すべての学校の閉鎖である。実にドラマチックな対策だが、本当のところ効果はあるのだろうか。この問題に関して信頼のおけるデータは不足しているが、フランス全土で1,000人以上の一般開業医が参加している定点観測ネットワークの「Sentinelネットワーク」から、この問題に取り組むのを可能にするデータが得られた。21年間にわたるインフルエンザ様疾患の日ごとの患者数の報告を、学校が休暇の年月日と比較するのである。休暇の時期はフランス各地でばらつきがあるため、季節性要因の影響は最小限になる。今回行われた解析による答えは「効果あり」で、児童へのインフルエンザ伝播率は約20%低下する。この結果から、世界的大流行の期間中に学校を閉鎖すれば、総患者数が約15%減少すると予測される。この数字は、医療システムにかかる負荷の低減には十分であるが、この疾患の感染拡大を直ちに止めるには不十分である。 2008年4月10日号の Nature ハイライト 疫学:学校閉鎖の効果 細胞:ポリグルタミン病 細胞:上皮細胞でのクラスリンの働き 物理:極限での測定 物理:異常な光 物性:間接型強誘電性 気候:自助努力する熱帯雨林 免疫:血液細胞の系譜を作り直す 目次へ戻る