Nature ハイライト 免疫:血液細胞の系譜を作り直す 2008年4月10日 Nature 452, 7188 現在広く受け入れられている造血モデルでは、T細胞はリンパ球系への分化に限定された共通のリンパ球前駆細胞から生じ、また、骨髄系細胞(骨髄や脊髄でみられる顆粒球やマクロファージなど)は骨髄系細胞系列へ分化するように拘束されている前駆細胞から生じると考えられている。しかし2つの論文が、このモデルと矛盾する証拠を報告している。成体の胸腺内に、T細胞にも骨髄系細胞にも分化できる前駆細胞が見つかったのである。T細胞は、胸腺の初期の細胞集団から作り出される。この細胞集団は、B細胞を作り出す能力は失っているものの、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、および樹状細胞への分化能に加えてマクロファージへの分化能も備えている。これらの結果は、T細胞とB細胞の系列分岐点にあたる前駆細胞はマクロファージへの分化能を保持しているとする成体造血モデルを支持している。 2008年4月10日号の Nature ハイライト 疫学:学校閉鎖の効果 細胞:ポリグルタミン病 細胞:上皮細胞でのクラスリンの働き 物理:極限での測定 物理:異常な光 物性:間接型強誘電性 気候:自助努力する熱帯雨林 免疫:血液細胞の系譜を作り直す 目次へ戻る