Nature ハイライト

生態:漁業が魚類資源を脅かすわけ

Nature 452, 7189

生態学では、漁獲対象となる魚種の個体数がそうでない魚種の個体数よりも大きく変動するのは、漁獲対象になっていることと関連しているのではないかと長い間疑われてきた。その説明として提唱されている主要な仮説は3つある。第一の仮説は、変動する漁獲圧それ自体が直接的に資源量の変動性を増大させるというものである。他の2つの仮説は魚齢短縮効果と関係したもので、成魚が減少することで個体群が若齢化し環境変動の影響をより受けやすくなるという第二の仮説と、内的増加率などの要因が変化することで個体群動態が不安定になるという第三の仮説である。今回、カリフォルニア海流内漁場での50年にわたる仔魚個体数の記録を用いて、これらの仮説の可能性が比較検討された。その結果、第一の仮説は全く証拠が得られず、二番目もあまり裏付けが得られなかったが、第三の仮説には支持が得られた。漁業は個体群動態の不安定性を増大させ、資源量の系統的な減少の前兆となる不安定な激増・激減を招くことがある。これは、資源の枯渇を防止する漁獲制限策がなければ、経済的に重要な多くの漁業が破綻を来す可能性を意味している。

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